コロラド・プラトー(台地)


アメリカ国立公園の多くが点在する南西部、ここは地質上最も貴重な地域であるといっても過言ではないだろう。大陸が移動する際、大きな摩擦力と圧力が地殻にかかり、大地は様々な形に変化する。湾曲収縮を繰り返し、時には海の底、時には山の頂上となり、移動を続ける。海底、デルタ地方、湖沼地帯、沿岸、砂丘地帯等、色々な状況で地層は堆積して行きながら、風や雨による侵食も繰り返される。

ただ単に大きな絨毯を床の上で移動させるような動きは無理なのであって、大平原のようなあまり圧力がかからず、隆起活動のなかった地域はまだしも、隆起、造山活動の活発な地域で大地が変化なしでそのまま移動を続けるのは不可能に近い。



コロラド台地は日本列島ができた頃と同じ時代、約1千5百万年前にできた。中学の地理にも出てくるこの台地は、世界中の地質学者にとって最も興味深く、注目を浴びている場所である。コロラド台地の地域には、有名なグランド・キャニオン、ザイオン、ブライスキャニオン、モニュメントバレー他、無数の渓谷があるが、この地域の主な特徴は、普通は前後バラバラに地殻がくだけて盛り上がってくるのに対し、ほぼ日本列島と同規模大の大地が隆起し、水平線上に一時期に上がってきている。

地域一帯が非常に乾燥している為、草木があまりない。草木がないという事は水分が少ないということで、ルイジアナ(ニューオリンズ)一帯も一時はここと同じ地形であったが、水分、湿気が多い分侵食が進み、昔の跡形もなく変わっている。コロラド台地は侵食のスピードが大変遅いのである。

北東部が最も隆起しており、南西部に向けて緩い斜度があり、地層がまるでトランプをずらしたかのように階段状になってむき出しになっている。この階段状の様子をグランド・ステア・ケースと呼んでいる。

グランド・ステアケースは、大きく6層に分かれており、一番古くは2億5千万年前のカイバブ層、これはグランド・キャニオンで足元に踏む層である。2番目は2億2千万年前のチョコレート層、これはザイオンで足元にある層。3番目は2億年前のバーミリオン層、赤黒い地層。4番手は1億5千万年前の白の層、5番手は1億年前のグレイ層、海底の土砂、泥が溜まってできた柔らかいもの、一番新しい7千万年前からなるピンクの層は内陸時代湖の湖底にあった地層から成る。

岩の色が違うのは色々な背景があるが、単純に言えば、白い色はその地層は砂浜や砂丘の時代にできたもので、色が強くなればなるほど、火山等により変成岩となり性質が変ったり、岩の内部に含まれていた鉄分が侵食作用、雨水等で外部に到達し、酸素に触れ、それが錆びて赤くなったり黒くなったりしていると考えられる。地層の重なりの中でいきなり色が変ったりする場合の多くは火山灰である事が多い。



コロラド台地は、広大な隆起活動に伴ってドーム型になり、台地が上がってきた際に亀裂が走り、地層はぐちゃぐちゃになりながらも20数回上下を繰り返し移動した。亀裂が走り、下部の地層が出た時にプレッシャーがリリースされ、さらに複雑な亀裂が走る。

3億年前、超大陸の時代、ちょうど周辺部は海の浅瀬であり、海の満ち引きが非常に激しかった。ペンシルバニア期の熱い太陽に熱せられ、数百メートル単位で繰り返す潮の満ち引きに浅瀬に取り残された海水が熱せられて蒸発、そこには潮が残り、最大部で高さ1500mという途方もない塩の層ができあがった。

塩は固まると弾力性を持ち、プレッシャーをかけるとゴムの様にプレッシャーのかかっていない方へ移動する。塩の層に他の地層が重なっていくに連れてどんどんプレッシャーがかかって行った。厚い岩質の重みに耐えられなくなった塩の層は薄い部分に移動し、薄く乗っている地層を下部から持ち上げた形となる。持ち上げられた地層は亀裂が走りそこから塩が吹き出す。塩は後に水に溶かされ、そこには空洞が残るといった形である。

コロラド台地が隆起し、この塩の大移動、溶解現象がおき、溶かされた塩分は固い地層沿いに下へと流れていく。東をロッキー山脈、西をシェラネバダ山脈と2つの史上最大とも言える隆起活動に囲まれ、コロラド台地の北東部から塩分をたっぷりと含んだ水が逃げ道を失い、どんどん溜まって行ったのが、現在ユタ州にあるグレートソルトレークなのである。

現在コロラド台地周辺に世界を代表する国立公園が集まっているのは、過酷な隆起活動と大陸移動に耐えてきた勲章とも言えるであろう。
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