大陸移動とヴェーゲナー


大陸移動説は、今では一般常識とされ、ごく当たり前の事となっているが、実はまだ発表されてから100年も経っていない新説なのである。我々人類は、自分達が住んでいるこの地球についてあまりにも無知であった。

20世紀当初、ドイツの気象学者ヴェーゲナーは気球による高層気象観測を続けるうち、海岸線の形の不思議さに魅せられ、地球そのものの進化について興味を持った。やがて、南アメリカとアフリカ大陸の海岸線が似通っている事実に気づき、調査を始める。

約4000km離れている両大陸が、昔は一体だったということを裏付けるための証拠として、両大陸には同じ生物(カタツムリ等)が生息していることや、化石、山脈の連なり方、岩石に残された氷河の傷跡などを挙げ、1912年に「大陸移動説」となる『大陸と海洋の起源について』を発表する。

続いて1915年には「大昔、大陸は全てひとつだった。大陸は移動して分裂、接合を行い、繰り返し、現在に至った」「二億年ほど前、超大陸パンゲアが分裂して、その形や大きさをほとんど変えずに地表に沿って水平に移動し、現在の大陸は位置になった」というパンゲア説を発表したが、大西洋両岸のジグソーパズル論には信憑性がなく、あまり相手にされず、当時の学者は陸橋島説(「大陸は沈んでも動くことはない(現在では誤りと判明)」)等の仮説を作り上げ、化石の証明等もねじ伏せてしまう。

ヴェーゲナーはその後も気象学分野では大気熱力学で偉業を成したが、大陸移動説をあきらめきれずに調査を続け、気象観測を兼ねた5度目のグリーンランド探査中、50歳の時に死亡した。彼の墓標には「偉大なる気象学者であった」と記されているが、大陸移動説については何もふれられていない。

ヴェーゲナーの死後、1950年代には古地磁気や海洋底の研究が進み、大陸移動説は実証され、再評価され、60年代後半にはプレートテクトニクス説(地球の表面には何枚かの硬い岩盤で構成されており、対流するマントルに乗って動いている)が発表され、ようやく彼の大陸移動説は世に認められた。
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