最初のアメリカ人・・・・・そのルーツは?
今から約3万年~1万5千年前、その頃は最後の氷河期の影響によって海面が今より数10mも低く、シベリアと北米大陸の間のベーリング海峡は、細長い陸橋になってつながっていた。遥かな先史時代の壮大な規模の大移住がその頃から始まっており、アジアからの移住が長期に渡って緩やかに続いた。

数千年の長い年月の間にアジアから渡ってきた人々は北米各地に広まり、さらに中米を経て南米の隅々にまで住み着くようになった。したがってこの先住民たちを「最初のアメリカ人(The First American)」と呼ぶ事ができ、現にその表現を使った研究書も出版されている。

アジアから移住してきた、これら先住民の生活や文化はかなり知られるようになってきた。特に中米ユカタン半島を中心としたマヤ文明、中米の高原地帯に発達したアステカ帝国やその周辺の文化、さらに南米ペルーからアンデス山脈一帯に発展したインカ帝国の文化などである。

中南米ではメキシコシティの近くにある壮大な太陽と月のピラミッドを持つテオティワカン遺跡、南米ペルーではナスカの地上絵、数多くの黄金飾物、アンデス山脈の奥深くに聳えるマチュピチュ遺跡…と見事な文明を無数に見る事ができる。

これに対し北米の先住民は、中南米の様に強大な帝国を作り上げる事はできなかった。人口も中南米が千数百万人以上と推定されているのに対し、恐らく300万人程度だったのではないかと思われている。およそ500余りの部族に分かれて住み、言語の系統も50余りあったので、単純計算すれば一つの言語が通じあう範囲はせいぜい十部族くらいで、先住民同士が通訳を必要としていた時代があった。
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