地球の絶滅史 その4


6500万年、6月。 隕石インパクトからの1年

直後~1時間後:衝突直後に衝突地点周辺から強烈な光線や熱線、衝撃波が高速で四方へ広がった。周りの海水は瞬時に蒸発した。 現在のカリブ海周辺に相当する海や陸で、最初の被害が出た。

1時間~数時間後: 高さ1キロをこえる巨大な津波が南北アメリカの海岸を襲った。低・中緯度の海岸沿いでは、 動物や植物が大きな被害を受けた。この段階では被害はまだ世界中におよばなかった。

数時間~数日後: 衝突によって巻き上げられた大量のちりやガスが大気上空の成層圏に達し、地球全体をおおった。森林火災もおきた。世界中は暗やみになり、海でも陸でも光合成はストップした。

1ヶ月後: 光の遮断にともなう低温化に加え、酸性雨が降りはじめた。酸性雨による植物の被害は甚大で、結果として動物の食料不足を招いた。この二次被害の範囲は地球規模となった。

1年後: 地球内部から供給される熱や二酸化炭素が地表に蓄積し、寒冷化していた気候は一転した。 暗黒のうちに温暖化だけが進行した。この温度変化に対応できず絶滅した生物も多かった。



地球は、陸地圏、空圏、成層圏、海洋圏、植物圏、生物圏という、縄張りを持って、それぞれが暗黙の了解なるルールを守りバランスを保ってきた。ところが、生物圏に人間が誕生したとたん、このバランスは崩れ始めた。今までは自給自足、必要最小限の消費で済んでいたが、人類の誕生、産業の発展に連れてエネルギー消費は増倍し、自然界のエネルギーのごく1部を利用しているだけに過ぎなかった原始人~高度農業人(西暦1200年ごろまで)に比べ、遥かに多くのエネルギーを消費するようになった。

一般に成人の1日で消費するエネルギーは2000カロリーと言われているが、それは体内だけでの消費量。人間が使うその他のエネルギー、例えは電子レンジ、テレビ、コンピューター、車、そういった消費量を足していくと、現在人類一人当たりが消費しているエネルギーは2万カロリーを超えるそうだ。2万カロリーと言えば、象一頭が1日に必要とする消費量。そう考えると、現在地球上には草や果物だけではなく、肉も原油も電気もありとあらゆるエネルギー全てを消費する象が66億頭ほどうろうろしている計算となる。

現在の地球は、海が約70%、残りの30%のうち、酸素を供給する森林は7.6%、農作に適した土地は僅かに3.6%しかない。この数字を見れば戦争なんてしている場合じゃない事に気づくはずだが…

我々は、これから常に自分達の置かれている状況を念頭に置き、各々が毎日世界平和と自然界に住む生物としての責任意識を持って行動するだけで、100年先は随分変わっていく事であろう。このままのペースで人間界が躍進を続ければ、地球は間違いなくパンクする。遥か未来、今からガラッと変わった生物が昔の地球史を振り返った時、“人間”という生き物が地球を滅亡に至らしめた史上最悪の生物であったなんて、言われないようにしたいものだ。
© 2024 JTB USA Inc. All rights reserved.