地球で最初の光合成生物シアノバクテリアが誕生したのは27億年前、浅瀬に発生したシアノバクテリアは光合成によって原始地球に酸素を生み出し、大気中の酸素濃度は長い長い年月をかけてゆっくりと増えていった。
上空に昇った酸素は紫外線と反応してオゾンに変わり、今から約10億年前、成層圏にオゾン層が出来上がる。太陽からの紫外線をオゾン層が吸収するようになったため地上は安全な地と化し、5億年の歳月をかけてコケ植物やシダ植物が地上に上陸を始めた。
3億8000万年前(デボン紀)には、史上初めての木“アーキオプテリス”が誕生。豊富な酸素と太陽の光で瞬く間に森林が出来上がった。
森ができると木陰が出来る。木陰は強い直射日光から生き物を守り、適度な湿度を供給、さらに樹木が落とす葉が微生物の活性化を促し、大量の有機物を産みだし、不毛の大地に栄養分を送り出す事となった。
その後、3億年ほど前には裸子植物が誕生、恐竜が繁栄した1.5億年~6500万年前(ジュラ紀~白亜紀)には、セコイア(スギ科)などの針葉樹(裸子植物)が全盛を迎える。花が咲き、果実がなる被子植物が誕生したのは3000万年前。
植物は、蜜や果物に誘われた昆虫や鳥、ほ乳類を利用して種子を遠くに運ぶという新たな子孫繁栄の方法を編み出し、森林生態系を拡大していったのである。
広葉樹(被子植物)は針葉樹と違い横方向に枝葉を拡げるため、森で生活する生物たちに新しい環境を提供した。
横に広がり木々が重なり合うことで動物たちは危険な地上に降りることなく、樹上にいながら遠くまで移動することが出来るようになった。オランウータンに代表されるように、私たちの祖先である猿人も、もとは樹上生活を行っていたと言われている。
セコイア周辺、植民化が始まる前、モナケとモノという先住民が住んでいた。 主に西側の裾野に住んでいたが夏の間は東部側の人々と交易を行うため、峠を越えて移動をしていたと言われている。
モナケ人達の主食はどんぐりだったらしく、どんぐりを加工するすり鉢や当時の事が書かれた絵文字が公園内で見つかっている。 ヨーロッパから入植者が入り込み、同時期に天然痘が広がり当時住んでいた先住民族の人口は大幅に激減した。
最初に入植してきたヨーロッパ人はヘイル・サープ、セコイアの倒木をくり抜いて作ったログハウスに住み、先住民達とも交流を持ち、雄大な森林に敬意を払い森林の伐採を反対していたが、1800年代後半になると木1本で何十軒もの家が建つと知られたジャイアント・セコイヤは何千本も伐採されてしまう。
(やがてジャイアント・セコイアは簡単に裂けるため木材の収穫には適さない事が判明し、伐採は収まる)
公園内には、植物は勿論だがたくさんの野生動物も生息しており、ボブキャット、キツネ、ヘラジカ、ミュールジカ他ガラガラヘビや運がよければピューマも見る事が出来る。 また、観光客にはあまり知られていないが、公園内には240 以上の有名な洞窟があり、まだ見つかっていない洞窟が数百あると考えられている。 カリフォルニア州最長のリルバーン洞窟(長さ32キロ) も公園内にある。 観光が許されているのはクリスタル・ケーブ一箇所のみ、長さ6キロ弱だが、保存状態が良いため非常に美しい。
洞窟群の殆どは大理石からなる溶解洞で、シェラネバダ山脈全体が形成された50万年前頃から熱と圧力によって変性した石灰岩である。毎年10近くの新しい洞窟が発見され、ここは知る人ぞ知る、洞窟探検家のメッカとも言われている。