公共手段では行けないため、車か自転車、或いは徒歩で行くしかない……現実的にはレンタカーであるが、エルパソからは2時間弱なのでカールズバッド国立公園と合わせて訪れてみよう。足を伸ばしてサンタフェ(約4時間)まで行くのも良い。
ホワイトサンズ園内には宿泊施設は無いため、宿泊を考えるのであれば15分ほど離れたアラモゴードの町、1時間離れたラス・クルーサスの町があるが、エルパソから2時間、カールズバッドまで移動しても3時間弱の行程なので、必要が無ければ移動の間に通る公園にしたほうが良い。
(2020年7月現在*)
・自家用車 $25 (1台あたり。7日間有効)
・スノーモービル、オートバイ $20
・個人(徒歩、自転車、スキーなど) $15 (1人あたり。7日間有効。15歳以下は無料。)
・年間パス $45 (1年間有効)
・共通パス $80(他の国立公園などでも使える共通パス。1年間有効)また、毎年無料の日が数日ある 2020年 1月20日 4月18日 8月25日 9月26日 11月11日 *最新情報は国立公園のサイトにて確認できる。
石膏は海洋性堆積岩で、溶解されたイオンが水分の蒸発によって凝縮する蒸発残留岩鉱物である。
例えば通常の塩分を含んだ海水が蒸発によってもとの分量から20%まで減少したとすると、 カルシウム (Ca2+)及び硫酸塩-(SO42)イオンが凝縮し、石膏(CaSO4+2H2O)として結晶化する。
この地域周辺がまだ赤道付近に位置していた5億年前~2億4千万年前頃、特にペルム紀の頃、大陸移動のあおりで激しい海面低下が起き沿岸地域の海水がほぼ全面的に干上がってしまった。
結果、浜辺には石灰岩、塩や石膏等の堆積岩が溜まり、当時出来上がった石膏の層は500mに達する位であったという。
その後長い年月が過ぎ去り3000万年前頃から活発となったララマイド大変革(ロッキー山脈造山活動の南部の動き)によって周辺の大地は隆起を続け大地に深く埋まっていたかつては浜辺であった地層の部分が地表に出てくる。
ホワイトサンズがあるトゥラロサ盆地は、西をサン・アンドレアス山脈、東をサクラメント山脈とグアダルーペ山脈に囲まれているため、およそ2万4千年前から1万2千年前に起きた最後の氷河期でホワイトサンズ形成への重要な出来事が起きた。
更新世(Pleistocene Epoch)後期、現在ホワイトサンズのあるトゥラロサ盆地を含む米国南西部は現代よりも雨が多く気温も低かったため、
北側のシエラ・ブランカ山(標高約3600m)には小型の氷河が沢山出来、トゥラロサ盆地には広大な氷河湖(オテロ)があった。
多量に降り続けた雨は、サン・アンドレアスとサクラメント山脈から石膏を溶かしてオテロ湖へと流し込み、湖は石膏の溶解成分が多く溜まっていった。
氷河期が終焉すると、周辺の気候は著しく乾燥し始め、オテロ湖もゆっくりと干上がって行きやがてそこには広大な石膏の堆積物が残る事となった。
よって、このあたりにホワイトサンズと呼ばれる石膏の砂丘が現れるようになったのはごく最近、7000年前前後であったと言われている。
石膏の砂は最初は透明だったが、砂粒同士が擦れ合って傷ができ、それによって光を通しにくくなるため白くなっていく。ホワイトサンズの砂丘は絶えず形を変え、1年間に10m近く風下に向かって南西から北東へゆっくり移動している。
砂丘の行く手で砂が植物を覆ってしまうが、この付近に生息している植物の中には、砂丘によって埋められることを避けるのに十分な速さで成長することができるものもある。
普通の砂丘は石英を主成分とする砂状結晶で出来ているいるが、ホワイトサンズは石膏であるため、太陽のエネルギーを熱に変えにくく、暑い真夏日で直射日光が照り付けている状態でも素足でも歩くことができる。